はじめに
こんにちは。雷神久です。
今回はゲームにおけるバーチャルサラウンドの必要性について執筆いたします。
主に、FPSにバーチャルサラウンドを使用することで索敵がしやすくなるのか?などの疑問に答えつつ、おすすめのサラウンド環境をご案内いたします。
バーチャルサラウンドを導入したいと考えている方や、導入はしているが、思ったようにサラウンド効果を得られていない方におすすめの記事です。
FPSにバーチャルサラウンドは必要なのか?
結論から言うと、サラウンドに対応しているすべてのゲームに対して、バーチャルサラウンドの導入をお勧めいたします。
FPSに必要な音の距離や方向を音像定位と呼びますが、サラウンドサウンドはその音像定位を得るためには必要不可欠であると考えるからです。
サラウンド対応ヘッドホンの購入は必ずしも必須ではありません。
バーチャルサラウンド自体はサラウンド対応とパッケージに記載のないヘッドホンでもWindowsの立体音響を使用することで導入が可能です。
音質は劣りますが、イヤホンでも導入可能です。
サラウンド対応ヘッドホンは、専用のソフトウェアでサラウンド効果の調整や、イコライザの設定がてきるようにUSBドングルまたはアンプがセットでついてくることが多いです。
そのため、導入の敷居が低く、PCにあまり詳しくない人でも使いこなせると思います。
雷神は以下のバーチャルサラウンドをFPS(主にAPEX)で試しました。
- サラウンド対応ヘッドホンで再生。
- 立体音響(Windows Sonic for Headhones、Dolby Atomos for Headhones、DTS ヘッドホン︰X)を使用して再生。
- その他の方法でマルチチャンネルのミックスダウンを行って再生。
雷神が最もFPSに向いているサラウンド方式は 3 であると考えます。
『FPSではバーチャルサラウンドは必要ない』と記載されている記事を多く見掛けるのですが、おそらく 3 を試されたことが無いのではないかと思われます。
理由として、
1 の場合、5.1chや7.1chのソースをヘッドホン販売元の独自の技術により2chにミックスダウンして再生するのですが、音の広がりを空間演出するための補正がかかるため、音が反響しているように聞こえてしまうからです。※付属するソフトによってはプロファイル設定の変更が可能。
2 も同様に空間補正がかかります。
空間補正がかかると、全体的に音が遠くに感じ、遠近がつかめなくなります。
例えると、左右にスピーカーが一つずつあるホールの真ん中にいるような感覚となります。
そのため、物陰に隠れている敵や、後ろから迫る敵、上下階にいる敵の位置や距離を正しく認識することができないため、FPSには不向きとされています。
これだと、もともとヘッドホン用に作られたステレオ音声を聞くほうがマシです。
足音の聞き取りやすさについては、どちらかというとヘッドホン自体の性能や、イコライザーの設定に影響するので、あくまでも音像定位を正確に把握するためにサラウンドが必要と考えてください。
1 や 2 は、補正の際に音の厚みや迫力が出ることが多いので、音像定位を重視せず、迫力を重視するゲームや映画に利用すると良いと思います。
3 はあまり一般的に知られていないバーチャルサラウンドになり、設定にはPCの知識が必要となりますが、後ほど詳しく設定方法を解説いたします。
サラウンドの種類について
サラウンドは、リアルサラウンドとバーチャルサラウンド(仮想サラウンド)に分けることができます。
リアルサラウンドは5.1ch や7.1ch のソースをチャンネルごとにスピーカーに分けて出力するサウンド方式です。
5.1ch の場合、センタースピーカー×1、フロントスピーカー×2、リアスピーカー×2、サブウーファー×1が必要となります。
最新の規格では7.1.4chがあり、この場合センタースピーカー×1、フロントスピーカー×2、サイドスピーカー×2、リアスピーカー×2、サブウーファー×1、トップスピーカー×4が必要となります。
7.1.4はセンター、フロント、サイド、リアの7つ、ウーファー1つ、トップの4つを表しています。
対して、バーチャルサラウンドは、5.1ch や7.1ch のソースを2chにミックスダウンし、擬似的に立体的な音場を再現するサウンド方式です。
そのため、ヘッドホンにおいてはほぼバーチャルサラウンド一択となります。
リアルサラウンドに対応したヘッドホンも存在する
一部、リアサウンドに対応しているヘッドホンも存在します。
イヤーカップ内部に独立したサウンドドライバーを備えているため、音像定位が分かりやすく、クリアに聞こえます。
しかし、Amazon の評価にもありますが、個々のドライバーが小さくなってしまうために音質は安っぽくなり、複数のドライバーが付いているために重量が重くなってしまうのがネックとなります。
一般的なヘッドホンでバーチャルサラウンドを利用するには?
パッケージにバーチャルサラウンド対応と書かれていないヘッドホンやイヤホンでさえもバーチャルサラウンドの導入は容易に行うことが可能です。
Windows10(2017年春アップデート以降)では 、Windows Sonic for Headhones と呼ばれる立体音響を無料で使用することができます。
その他、Microsoft Store で購入できる Dolby Atmos for Headhones や、 DTS ヘッドフォン:X といった立体音響を追加することも可能です。
どちらが優れているかはここでは議論しません。それぞれ仕組みが異なるため、記事を分ける必要があるほど話が長くなります。対応しているゲームを持っている場合はそれを利用すればOKです。
Windows の立体音響の使用方法と注意事項
立体音響の使用方法
立体音響を使用するには、
- [Windows キー+ R]でファイル名を指定して実行を開く。
- 「mm sys . cpl」と入力し OK ボタンを押す。サウンドとオーディオデバイスのプロパティが起動する。
- [再生]タブからヘッドホンを右クリックし、既定のデバイスになってない場合は[既定のデバイスとして設定する]を選択する。
- ヘッドホン右クリックし、[プロパティ]を選択。
- [立体音響]タブを選択。
- プルダウンメニューより [Windows SONIC for Headhones]を選択し、[適用]を押す。
既に購入している場合は Dolby Atmos for Headhones や、 DTS ヘッドフォン:X もオプションとして選択ができるようになっているはずです。
※以前はこの画面に[7.1仮想サラウンドサウンドを有効にする]というチェックボックスが表示されていましたが、Windows 10 バージョン1903 以降は表示されなくなりました。自動的にサラウンドサウンドは有効になるようですが、このチェックボックスが廃止されたことにより、ゲームによってはステレオとして認識されてしまいます。※詳しくは注意事項参照。
これで立体音響を使用する設定は完了です。
注意事項
この設定を完了すると、ヘッドホンのオーディオチャンネルは[ステレオ]に設定されます。ヘッドホンを右クリックし、[スピーカーの設定]を開いた際に確認することができます。
バーチャルサラウンド対応ヘッドホンの場合、オーディオチャンネルは5.1ch や7.1ch が選択できるはずですが、立体音響設定すると構成が自動的に[ステレオ]に固定されてしまい、変更ができません。
また、 Windows 10 バージョン 1903 以降は[7.1仮想サラウンドサウンドを有効にする]のチェックボックスが廃止されたため、一部のゲームにマルチチャンネル構成であると認識させることができなくなりました。
そのため本来であれば
ゲーム側の音声(構成がマルチチャンネルと認識されるのでマルチチャンネルで再生)
⇩
立体音響を通してデコード(2chにミックスダウン)
⇩
バーチャルサラウンドになって耳に届く
となるはずが、スピーカー構成がステレオとなってしまうため、
ゲーム側の音声(構成がステレオと認識されるのでステレオで再生)
⇩
立体音響でデコード(元々ステレオなので意味がない)
⇩
結局ステレオで耳に届くことになる
基本的に Windows の立体音響は対応しているゲームにしか効果を発揮せず、以下のような場合はバーチャルサラウンド化することができません。
- ゲーム内でのサラウンド設定がステレオとみなされる。
- ゲーム内でスピーカー数を変更できない。
例としてAPEXは1と2の両方を満たしているため利用することができません
強制的にAPEXを立体音響に対応させてサラウンド非対応のヘッドホンでもサラウンド化する方法
元々バーチャルサラウンド対応ヘッドホンを利用している場合、スピーカー構成が 5.1ch や 7.1ch と認識されるため、APEXのサラウンドも 5.1ch や 7.1ch と表示されます。
この場合、バーチャルサラウンドの効果を得られていると考えてOKです。
一般的なヘッドホンをサラウンド化するには Windows の立体音響を利用する必要があります。しかし先の注意事項で触れたようにスピーカー構成が自動でステレオになってしまうため、APEX内では「ステレオ・ヘッドホン」と表示されてしまいます。
この場合、バーチャルサラウンドの効果は得られません。
APEXで立体音響を利用するには、強制的にAPEX内でマルチチャンネルが出力できるように設定する必要があります。
一番簡単な方法としては起動オプションに「+miles_channels 8」を入力することで、出力先のデバイスにかかわらず強制的に7.1chで出力することができます。
ただし、立体音響の設定を行っていないヘッドホンでは聞こえないチャンネルが出てきてしまうため、ゲームを起動する前に立体音響の設定を済ませておく必要があります。
その他の方法でマルチチャンネルのミックスダウンを行う方法
FPS に一番適しているバーチャルサラウンドはこれからご案内するミックスダウンであると雷神は考えています。
理由として、無駄な空間補正を入れることがなく、音像定位がわかりやすいので FPS に最適です。
ミックスダウン方法はいくつかあるのですが、ここでは Voicemeeter Banana を使用して簡易的にミックスダウンする方法と HeSuVi を使用してミックスダウンする方法を解説していきます。
Voicemeeter のインストール方法
Voicemeeter はソフトウェアミキサーです。ドネーションウェアであり、基本的に無料で利用することが可能です。気に入ったら開発者に任意で寄付をする形態のソフトウェアです。
種類が、Voicemeeter、Voicemeeter Banana、Voicemeeter Potato がありますが、Voicemeeter Banana の使用をおすすめします。
Voicemeeter Banana は入力デバイス3つ、仮想出力デバイス2つ、出力デバイス3つ、仮想入力デバイス2つを扱えるようになります。
上位版のPotatoではさらに扱えるデバイス数が増えます。
Voicemeeter Banana をインストールすることでVoicemeeter VAIO と AUX の二つの仮想スピーカーが自動でインストールされます。
VAIO はメイン、AUX をサブと考えてもらえば良いです。
事前に仮想出力デバイスのスピーカー構成を7.1chに設定しておきます。今回は VAIO の構成を7.1chに設定しましょう。
また、既定のデバイスとして設定します。
仮想デバイスのスピーカー構成を7.1chとすることでAPEXのゲームにも7.1chスピーカーに出力していると認識させることができます。
次に、下記の通り仮想出力デバイスからヘッドホンに出力できるように設定します。
そのままヘッドホン出力した場合は聞こえないチャンネルが出てしまうので[MIX DOWN B]を選択します。A と B の違いは下記の通りです。
おそらく[MIX DOWN A]は下記の通りにミックスされます。
LEFT = L + (70%FC) + SW + RL – SL
RIGHT = R + (70%FC) + SW + RL – SL
[MIX DOWN A]はチャンネルが差し引きされるためゲームに向いていません。
[MIX DOWN B]はすべてのチャンネル含まれるのでこちらを選択してください。
これで簡易的ではありますがマルチチャンネルをミックスダウンしてバーチャルサラウンドを利用することができるようになります。
次に様々な音響効果を付与することのできる「HeSuVi」をご紹介します。詳しくは別の記事にまとめましたのでそちらをご参考ください。
さいごに
さて、今回はバーチャルサラウンドについて執筆して参りました。
この記事内では簡易版のミックスダウン方法をご紹介いたしましたが、「HeSuVi」を利用するのが一番おすすめです。こちらは別の記事にまとめましたので是非ご覧になってください。
様々なバーチャルサラウンド方式があるため、雷神も模索している日々が続いておりますが、基礎知識的な部分と備忘録も兼ねてこの記事を作成しました。少しでも参考になれば幸いです。
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